【税務】「少額減価償却資産」に係る損金算入の特例の見直し

中小企業者等は、取得価額30万円未満の少額減価償却資産を年間合計300万円まで、その年に全額費用計上できる「少額減価償却資産の特例」を活用できます。令和8年度の税制改正で、対象資産の上限金額が40万円未満に引き上げられ、適用期限も延長されました。

本記事では、特例の概要、改正ポイント、具体例、活用の注意点をわかりやすく解説します。

少額減価償却資産の特例とは

中小企業が活用できるこの特例は、減価償却資産(長期間使用する設備や備品などの資産で、通常は数年に分けて費用化するもの)を、購入した年度にまとめて経費処理できる制度です。

これにより、経費計上を早めて当期利益を調整することが可能になります。

対象となる資産の具体例

特例の対象になりやすい資産には、次のようなものがあります:

  • パソコン、プリンター、複合機
  • 事務机や椅子、ロッカー
  • 工具や小型機械、作業台

これらの資産は日常業務で使用することが前提となり、少額減価償却資産として扱われます。

費用計上の仕組み

通常の減価償却では数年にわたり費用を分割しますが、この特例を使うと、購入した年度に全額を経費として計上できます。

これにより、年度末の利益調整や税負担の平準化に役立ちます。

令和8年度税制改正のポイント

令和8年度の改正により、特例の利用条件が以下のように変更されます。

対象取得価額の引き上げ

これまで:30万円未満     改正後(令和8年4月1日より):40万円未満

改正によってより多くの少額資産を1年で経費処理できるようになります。

適用期限の延長と対象企業の変更

  • 適用期限が令和11年3月31日まで延長
  • 適用できる企業:常時使用する従業員数400人以下に縮小(従来は500人以下)
  • 年間合計額:300万円まで(現行と同じ)

利益調整への活用例

年度末にパソコンや機械を買い替えることで、その年度の利益を圧縮し、税負担を平準化することも可能です。

経営判断の柔軟性を高めるうえでも、計画的な資産取得や買い替えは有効です。

償却資産の申告と免税点の見直し

この特例で処理した資産は、償却資産の申告(固定資産税の対象となる資産について市区町村に報告する手続き)が必要です。

また、令和8年度の改正により、免税点(課税されない基準額)が150万円から180万円に引き上げられます。
これにより、固定資産税の負担が軽減される可能性があります。

中小企業が特例を活用する際の注意点

  • 適用要件(従業員数や資産取得額)を満たしているか確認する
  • 申告漏れや計上ミスがないよう、会計処理を丁寧に行う
  • 年度末の買い替えなどで利益調整を計画的に行う

制度内容に不安がある場合や、活用方法に迷った際は、ぜひ私たちにご相談ください

貴社の状況に合わせ、最適な経理処理・税務処理をサポートいたします。

リンク

No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁

令和8年度税制改正の大綱(3/9) : 財務省